RPA SUMMIT 2017 in Osaka
私は今、ご紹介いただき、RPA SUMMIT 2017 in Osaka に参加しています。
改善から改革へ デジタライゼーションの 本格導入と実践化を推進する国内最大級のRPA・AIに関するイベント「RPA DI…
本イベントでは、有償での講演、無償での講演、そして、展示ブースとハンズオンで構成されており、それぞれの参加者の課題や RPA への関心に応じた学びを共有してくれています。
私は、有償のセッションAルームにて、RPA の最新動向、導入事例を中心に聴講しています。
RPA に感じているのは、日頃注力している、チームワークや業務改善、働き方、マーケティング/エバンジェリズムにおける立ち位置より、より実践的であり直接的な領域であるということです。
RPA の現時点の段階(フェーズ)は、従来業務の自動化にありますので、そもそも論から入るというよりは、今あるものをロボットにより自動化へという認識でいましたが、それ自体はあまりズレはないことも確認できました。
さて、ここからは、各講演の内容についてレポートしていきます。あくまで長沢が感じたことを中心にしています。また、データが不正確な部分もありますので、あらかじめご承知おきくださいませ。
※ セッション資料および、撮影とその利用については主催者の許可を得ています。
レノボ・ジャパンでのデジタルトランスフォーメーション最前線
レノボ・ジャパンおよび、NECパーソナルコンピュータの代表である留目氏の基調講演です。
Lenovo は、元々は IBM の PC 部門が母体であることはまだ記憶にある方もいるでしょう。私自身は、2003年の聯想による IBM の PC部門の報道 (※2004年末に正式発表)の時点で IBMer (IBM社員) だったこともあり、今でも記憶にあります。

留目氏は、ご自身の経歴やレノボ・ジャパンの進化を紹介しながら、PC メーカーという枠や、PC が担う本来の役割、ミッションそして、課題解決のためのビジネスについて語りました。

「日本の PC メーカーの足踏みは、PC というモノから脱却できなかったことが大きい」という氏の言葉は、明確でした。PC というプロダクトは、古くなっていく。その言葉と本質に立ち返ってこと経営者であるとした上で、「パーソナルなコンピューターという本質に立ち返って見れば、テクノロジーと課題の変化によって、それは、従来の PC だけでなく、タブレットやスマホ、AR/VR と幅が広がっていく。レノボもそうなっている」
という意見はとても頷けます。モノからコトへの変化。課題解決型のビジネスが社会貢献とその対価を得るという本質への回帰と経営社視点に触れ、私の描いているビジネスとITとずれていないことが確認できました。

「課題は、オフィスにある時代ではなく、オフィスの外にある。だからオフィスの外にでていかないと課題を定義することもできないし、それらを解決することもできない。それができない企業は、衰退していくかもしれない」
「従来のように一社で、ソリューションを提供できる時代ではない、未来型では、課題ありきで、それを他社と『共創』して解決していく」

そう、課題を見つけて、定義して、解決するには、オフィスの中では何も始まらない時代がきています。外にでていかない、意見を聞かない現場は外でおきていることすら知る由もなく、衰退していくと私も常々感じているのでとても共感できました。
「従来の3ステージは崩壊していく。『学ぶ、働く、老後』は成り立たなくなってきた。就職したって、学ばなければならない。人生100年時代は、老後だって学ぶし、変化する。マルチステージ時代に突入している」
これは人生だけではなく、企業も同じです。それは氏の、
「事業のライフタイムは短縮していっている。PCは、35年事業だったが、スマホはこの10年でもう伸び代がなくなってきている」
という言葉からも鮮明です。
そして、氏は「歴史は繰り返される」とし、
- Factory: 手工業 → 工場 → ロボット
- Office: 手作業 → PC → ロボット
とオフィスの現場でもロボットの活躍する時代はくるとして RPA の可能性にも言及されていました。

ただ、氏の講演の本質は、RPA に止まるのではなく、本来の社会に貢献することで対価を得るというビジネスそのものとそこで働くということに焦点があてられていました。
「ロボット化により、仕事がなくなるわけではない。課題の総量は変わらないので、課題はなくならない。人が感じてつくるものだから」
「課題は会社の外へ向かう。外に出て課題を定義し、解決していく。それが生産性向上につながっていく。本質は変わらない」
「オフィスの中の仕事は、減っていく。オフィスの外にでていくこと。それは、モノからコトへのパラダイムシフトである。コトは経験である。経験はオフィスの中ではつくられない」
それらを実践していくにあたって、よく言われる改革を実践されているというお話にシフトしていきました。それらは、「自動化」、「リモートワーク」、「副業OK」、「共創」です。
「全体デザインの共創が大切である。個別にカスタマイズされたモノやプロセスは相対的に意味のないものになってきた」
として、上記にて紹介した課題ベースの共創の大切さを強調されていました。
「共創ベースの事業開発へのフォーカス」
「脱 働かせ方改革」
として、すでに、
- 無制限のテレワークを本格稼働
- NEC PC のサポートを LINE Chat bot で実施するサービスを開始
- テレワーク型のコールセンターにして、全国の優秀な人材を雇用
など実践されているとのことです。
オフィスの外にでていくことを推進するため、
「国内業務の自動化」
「副業を積極的に認める方針に転換」
をしているそうです。
特にオフィスの外にいくことで課題を定義していくので、教育や自治体など積極的に関与する副業を推進していく。それは会社のマイナスにはならない。必ずプラスに共創として課題解決に役に立つと力強く語っていました。
「共創が、社員と会社の無形資産になる」
副業を積極的に認めるのは必然であるとのこと。まさにその通りだと感じました。
自社に閉じたソリューションはもはやソリューションではなくなりつつあります。ユーザーも自身の課題を解決する(=ソリューション)と判断できなくなりつつあります。

自社に閉じることで課題が見つけられなく、定義できず、当然ソリューションも導けないならば、自社に閉じることなく、共創していくことがこれからの「未来型」になると氏は説明しました。

この形は、システムインテグレーションをより進化させた、『ビジネスインテグレーション』ではないかと感じましたし、私も日々、これを意識して訴えてきたところでもあります。また、私のエバンジェリストとしての活動は、エバンジェリストという人が動くことでこれを促しているところが大きいのでとても共感できました。
氏は注力点として、従来型企業が持つ以下を変えていくことが大切であるとまとめました。
従来型企業:
- 系列に閉じたバリューチェーン(クローズド イノベーション)
- 流動性の低い資本と人材(オペレーションの硬直化)
- 共同体優先(→ 長時間勤務化)
未来型企業:
- 共創による価値創造 (オープン イノベーション)
- 流動性の高い資本と人材 (付加価値の高い課題解決型プロジェクトへのシフト)
- プロジェクトの成果を優先 (フレキシブルなワークスタイル)
氏の講演は経営者にとってもいち従業員にとってもとても価値があるものだと感じました。ぜひ機会があったら拝聴いただくことを強くお勧めします。